GRANDMERE
PHOTO by SUNAO TAKEDA
場所は西条市の壬生川駅へとつながる大通りにある。
都市計画によって出来た主要道路沿いに比べ少し閑散としている。街路に対して樹木と外灯と箱モノとよばれる建物で統一感が出来上がっているように感じた。オーナーが白い箱型を要望されていたことは自然に思えて素直に受容れることが出来た。

このあたりの地域では交通手段は車になるが、駅前通りであることをふまえて徒歩・自転車などの人々のプラザになればと思っていた。角地と店舗の性格から西側の主要道路に入り口・開口部は設けず北側からの隅入りとし通り沿いからも見えるように基壇のアプローチを設けてそこをテラスとする。店舗横に壁を隅切りしてかすかにひらきベンチを設けてある。時には水をはることでまったく別の表情になる。2階は住居となっているが、生活感の現れる窓を設けないことで店舗の存在感で建っている。西側から見れば完全な塊であるが、仕上げとしてはどこかケーキの箱をイメージするような素材、テクスチャで表現している。通りに対して窓を設けないことから2階の住居は中庭型へ自然な成り行きで決まった。中庭は2ヵ所あり、それぞれ用途が違う。一方は洗濯、ゴミなどの生活のバックヤードにし、もう1つはデッキを隔ててリビングとチャイルドルームを配置している。チャイルドルームの扉を開け放つことで40帖ほどの大空間となる。

この街並みを訪れた時に古くからある出来上がった街並みに対して何かを感じていた。それは今でも何かはわからない。それでも、この街並みに敬意を表しながら設計を行ってきたつもりだ。そして新しく発展していくことへのきっかけとなってくれればと思っている。(長井)

G15 Patisserie&House